この話は、トルコのカッパドキアの、とある絨毯屋さんのお兄さんと話した内容だ。
絨毯やお土産物、ツアーで連れていかれる土産店に興味がない方は、スルーしてもらってかまわない。
この絨毯屋さんでは、大幅値引きに送料負担と、日本の通販会社もびっくりの値引きセール。
トルコ絨毯を日本の百貨店などで購入すると100万円単位になるようだが、ここでは半額程度で購入することができる。
なぜそこまで値引きするのか。
絨毯の在庫が余っているからだ。売り物となる絨毯の在庫は7000ほど。
部屋がいくつあっても足りない。
とにかく在庫をさばいて現金化する必要がある。
なぜなら、貴重な織り手さんを失わないために、織られた絨毯を買い取っているからだそうだ。
しかし、テロなどの関連で、例えば日本の外務省が出した注意情報は、シリアとの国境がレベル4(退避勧告)、その近くはレベル3(渡航中止勧告)~レベル2(不要不急の渡航はやめてください)になっている。
さらに東南部地域はレベル1(注意してください)が出ている。
この辺りなら「シリアで内戦起こっているんだし仕方ないだろう」という声もあるだろう。
ただ、レベル1の注意情報はイスタンブールとアンカラにも出ている。
イスタンブールでは空港でテロが、アンカラでもテロが起こっている。
このため、日本では長いことトルコへのツアーがなかった。
ほかの国もおそらく同様だろう。トルコへのツアーはほぼ無かったと思われる。
話をした絨毯屋のお兄さんは、一年ほど無職の状態が続いたという。
実は、いつも明るい日本語ガイドさんも、三年仕事がない状態があり、転職も考えたそうだ。
絨毯は作られて納品されるから、それをさばいていかなければならない。
どうしても現金が欲しいというのが、今の絨毯屋の悩みなのだという。
観光という産業で生きていくうえで、それは不可避のリスクなのかもしれない。
トルコの観光業界が賭けているのは、口コミによる観光の誘致だ。
この旅行記を書いているのは、報告半分、宣伝半分でもある。
トルコはいいところだと、全力でアピールしたい。
絨毯屋さんには、こんなポスターが掲げられていた。
2010年、トルコにおける日本年のポスターだ。
オヤの見本帳という本で、私はそのキャンペーンを知っていた。
本で読んだと伝えると、お兄さんはこう言った。
「2010年は、日本人が一番来た年なんです」
翌年何が起こったかは、読んでいる日本の人は良く分かっていると思うので、あえて言わない。
お兄さんもわかっていたと思う。だから何も言わなかった。
エルトゥールル号に始まり、テヘラン脱出、大地震が起こるたびに助け合うトルコと日本。
これからもよい関係が続いていきますように。
絨毯屋のお兄さんには、特に絨毯屋の宣伝はしなくていいと言われたが、どことなく絨毯屋さんに肩入れした記事になっているのは、やはり直接お兄さんと話したことが大きいだろう。
阪〇の指定店になっているようなので、ツアーで行って絨毯を変えようか検討している方は、トルコ絨毯も検討してほしい。
裏が白っぽくない絨毯も、今ならかなりの値引で買えると思う。
ただ、その値引きの裏には、今まで書いてきたような事情があることも知っておいてほしい。